AIDS(後天性免疫不全症候群)


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AIDSは1980年代から短期間かつ急激に世界に波及したSTDです。STDの中でも発病してしまうと、最終的に死を招く危険性が高いことでも知られています。一般の人々が性病以外のSTDについて意識するようになったのも、このAIDSの波及がきっかけと言えます。
AIDSの病原体はレトロウイルス科に属するRNAウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)です。このウイルスはリンパ球に好んで感染し、それを破壊するため、リンパ球が減少して細胞免疫不全が起きてしまい、エイズが発病してしまいます。
HIVは世界に波及しているHIV−1型とアフリカ西海岸に流行するHIV−2型があります。HIV-2の塩基配列はサル免疫不全ウイルス(SIV)に近似しています。そのために人畜共通感染症の可能性がありますが症状はHIV−1型に比べて軽症だといわれています。
AIDSは1981年アメリカで初めて報告されました。初期においては同性愛者・麻薬静注常用者、続いて血友病の治療中における輸血医療事故による発病が広がりました。現在でも毎日5000人以上が感染しているといわれています。WHOの予想によると2000年には累計4000万人に達するとしています。
感染経路は性行為感染・血液媒介感染・母子感染が考えられています。マラリアのような吸血感染はなく、歯ブラシやひげそりの共用で感染することは極めて少ないと思われます。(B型肝炎は感染の危険あり)
AIDSの感染症状は現段階では5つのステップがあると考えられています。

(1)急性症状期
頭痛・発熱・関節痛・筋肉痛・リンパ節腫張・咽頭痛などインフルエンザに罹ったような症状がでます。発疹を伴うこともあります。この急性症状は2〜4週間で自然に消えてしまい、症状はなくなります。

(2)無症候期
全く自覚症状のない状態が数年から十数年続きます。ただし、この期間においてもリンパ球(CD4+T)は減少を続けています。

(3)持続性全身性リンパ節腫張期(PGL)
無症候性キャリアの経過中リンパ節の腫張が見られることがあります。ソ径部以外の二ヶ所以上の部分に直径1センチ以上のリンパ節腫張が3ヶ月以上出ていることが多いようです。

(4)エイズ関連症候群が見られる期間
AIDS発症診断基準には至らないのですが、エイズによって引きおこされているであろう症状が見られる期間です。体重減少・発熱・下痢・リンパ節腫張、検査値結果としては白血球の減少・リンパ球の減少などがみとめられます。

(5)エイズの発症
細胞性免疫不全が悪化、HIV感染による日和見感染・悪性腫瘍・痴呆症状などがみられるようになります。
エイズ発症と判断できる二次疾患或は合併症として次のようなものがあります。
薬剤耐性結核・カンジタ症・ニューモシスチスカリニ肺炎・トキソプラズマ症・単純ヘルペスウイルス感染症・真菌感染症・原虫感染症・Kaposi肉腫・エイズ痴呆症などです。

AIDSの治療は、HIV感染者で最も重要なCD4+Tリンパ球が減少しないようにさせることです。勿論無症候性キャリア期間を出来る限り引延ばす治療も必要です。
また、AIDSにおける死亡のほとんどが合併感染症によるものですから、感染症を抑える治療も必要です。
1980年代にはエイズの発症イコール死亡の図式がありましたが、1990年代に入ると、薬効作用の機序の異なる抗HIV薬を併用することで治療効果は劇的に改善しています。アメリカでは数年の間にエイズ患者の死亡率を70%以上減少させています。
現在の抗HIV治療(抗レトロウイルス治療)はヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(nRTI)2種類と、生体内で強い効果を持つプロテアーゼ阻害剤1種を併用する3剤療法が主流です。
この治療は3薬剤の相乗作用効果や薬剤耐性ウイルスの出現を減らすことが出来るといわれています。おそらく、現時点においてはベストな治療方法ということが出来ます。
しかし、この3剤療法は治療開始の時期の決定や薬剤の強弱、患者の服用継続可能環境などシビアな決定基準があり、医師、患者双方に相当に負担のかかる治療方法でもあります。ある試算によるとこの治療に要する月々の患者の経済的負担は15万円以上といわれています。少しでも医師、患者に負担の少ない治療法が求められています。
しかし、考えてみますと人類にとってHIVウイルスとはわずか20年弱のお付合い、たった10年間くらいの研究でここまでの成果を出せたのは、米国が全力を挙げて研究している点も見逃せませんが、驚異的です。現在でも継続的によりベストな治療方法が日夜研究・臨床段階に入っているものもあります。例えば、非ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤の併用や3薬剤の別途組合わせなどがあります。
最近の情報ではHIVウイルスの複製はHIV感染症の経過を通して可能な限り抑制すべきことは大原則になりつつあります。抗レトロウイルス治療は非常に変化の激しい分野ですので、新しい情報が入り次第、極力追加更新させてもらいます。
AIDS治療は今後も日進月歩の向上が見られるものと充分に期待できまが、それなら罹っても大丈夫?などとはくれぐれも思わないでください。
予防方法は感染経路によって異なります。性行為による感染予防にはコンドームしかありません。HIV感染者の精液や膣分泌液には血液同等のHIVが含まれており、性器や直腸では感染度が極めて高くなっています。不特定多数のパートナーとのコンドームなしのセックスや肛門性交の感染度は非常に高いものになります。
麻薬や覚醒剤の静脈注射の回し打ちによる感染の報告も増加傾向にあります。
母子感染の防止策の決め手はありませんが、母乳の授乳禁止や帝王切開により、感染率の低下は多少あるようです。
唾液にも若干のHIVウイルスは存在していますが極めて僅かで感染能力はありません。キスによる感染はないものと考えられます。

ご注意! ここでの説明は一般的知識の範囲になっています。典型的な症例や治療法の説明にすぎません。内容は充分チェックしていますが、くれぐれも参考情報にとどめてください。素人判断・素人療法は絶対に避けることをお勧めします。とくに、現実に症状などを自覚した時は、専門医の診断を受けられることを、強くお勧めします。
お願い! 解説内容については確認作業を充分注意して行っておりますが、時間経過による間違いや言い回しの不手際など、お気づきになられた方はぜひご一報いただけると助かります。

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